特発性心筋症に関する調査研究班のホームページにご来訪いただきありがとうございます。このホームページは、患者さんやご家族、診療や研究に携わる医療従事者や研究者等の方々に、特発性心筋症の概要や研究の進展、最新の情報をお知らせすることを主な目的としております。
本研究班「特発性心筋症の診断・ゲノム情報利活用に関する調査研究」は1974年に旧厚生省特定疾患調査研究班として特発性心筋症の疫学・病因・診断・治療を明らかにすべく設立され、その後49年間継続してわが国における本領域での研究の進歩・発展に大きく貢献してきました。本研究班は、2005年に「心筋症の診断の手引き」を作成し、2011年拡張型心筋症ガイドラインと2012年肥大型心筋症ガイドラインを2019年に統合し「心筋症診療ガイドライン」として改訂を行ってきました。本研究班は、心筋症の診療・研究の現況と課題点を整理して新たなエビデンスに応じた今後のガイドラインの改訂につなげるべく、研究を推進しています。
特発性心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、不整脈原性右室心筋症に分類されますが、分類不能心筋症の存在や、確立されていない発症リスク評価・発症前診断、小児と成人での一部異なる定義の存在などのさまざまな課題が残っています。また、心筋症診療におけるゲノム情報の位置づけが上昇しています。このような中、特異的な治療法の開発や確立や、小児から成人までの一貫した心筋症のNational registry構築が求められており、また、心筋症の診療現場におけるゲノム情報の利用体制の整備や普及が望まれています。
本研究班では、特発性心筋症および鑑別疾患である二次性心筋症の診断の我が国の実態を明らかにし、診断・治療の質の向上、ガイドラインの改訂に資するエビデンスを創出します。また、国内の診断・治療に関する現況の把握し、それに対する対策や、ゲノム情報の臨床利用体制も含めた診療体制の整備を進めます。さらに、他の厚生労働科学研究、日本医療研究開発機構(AMED)研究事業などの研究とも密に連携することで、新たな診断・治療法の開発、ひいては難病である心筋症の克服を目指します。
私たちの研究は、患者さんやそのご家族の生活の質を向上させ、未来に希望を持てる医療の実現を目指すことを使命としています。そのためには、医学的な知見の拡充に加え、多くの医療関係者、研究者、そして患者さんとの協力が不可欠です。
本ホームページを通じて、研究の進展や最新の情報を随時発信していく予定ですので、皆様からのご意見やご支援を賜れば幸いです。これからも全力でこの困難な課題に取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
研究班 班長
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
坂田 泰史